Glossary

中小企業M&A資格試験 用語集

M&A実務、財務・税務、法務、倫理・行動規範でよく出る用語を、意味だけでなく試験での押さえ方と実務上の文脈まで整理します。

用語は「意味」だけでなく「どの工程で使うか」まで覚える

M&A用語は英語略語が多く、丸暗記だけでは選択肢問題で迷いやすくなります。NDA、IM/CIM、LOI、MOU、SPA、DD、PMIのような用語は、プロセス上の位置づけとセットで理解すると、法務・財務・倫理の横断問題にも対応しやすくなります。

プロセス・資料

NDA

秘密保持契約

M&Aの検討過程で開示される財務情報、顧客情報、従業員情報、取引先情報などを、目的外に利用・開示しないことを定める契約です。

試験での押さえ方
NDAは単なる形式ではなく、情報開示の前提となる重要な法務・倫理論点です。開示範囲、第三者提供、返還・廃棄、違反時の責任を押さえます。
関連工程
事前相談 / ネームクリア / 情報管理

ノンネームシート

匿名概要資料

譲渡企業の社名を伏せたまま、業種、地域、売上規模、譲渡理由、特徴などを候補先に示す初期検討用の資料です。

試験での押さえ方
匿名化しても、地域や業種の組み合わせで企業が特定される場合があります。情報管理と候補先探索の両方に関わる用語として理解しましょう。
関連工程
候補先探索 / ネームクリア

ネームクリア

実名開示確認

候補先に譲渡企業の実名を開示してよいか、譲渡側から事前承諾を得る工程です。

試験での押さえ方
競合、取引先、地域内企業などへ開示する場合は影響が大きいため、誰にいつ開示したかを管理する視点が重要です。
関連工程
ノンネーム / NDA / 候補先管理

IM / CIM

Information Memorandum / Confidential Information Memorandum

候補先が本格検討するために、事業内容、財務情報、組織、取引先、強み、課題などを整理した詳細資料です。

試験での押さえ方
良い情報だけでなく、事業上の課題やリスクも適切に整理することで、DDや条件交渉での不信感を防ぎます。
関連工程
候補先検討 / DD前資料

LOI

Letter of Intent / 意向表明書

買い手候補が、買収意向、想定価格、スキーム、条件、DD方針、スケジュールなどを売り手側に示す文書です。

試験での押さえ方
提示価格だけで候補先を選ぶのではなく、資金力、承継方針、従業員への姿勢、クロージング実行力も比較します。
関連工程
意向表明 / 候補先比較

MOU

Memorandum of Understanding / 基本合意書

最終契約前に、独占交渉、DDの進め方、主要条件、費用負担、秘密保持などの大枠を整理する文書です。

試験での押さえ方
基本合意は最終契約ではありません。一部条項には法的拘束力を持たせることがあるため、拘束力の有無を区別します。
関連工程
基本合意 / DD前

SPA

Share Purchase Agreement / 株式譲渡契約

株式譲渡によって会社の支配権を移転する際の最終契約です。譲渡価格、支払方法、表明保証、補償、クロージング条件などを定めます。

試験での押さえ方
株式譲渡では会社そのものが存続するため、簿外債務や契約関係も会社側に残ります。事業譲渡との違いとセットで整理します。
関連工程
最終契約 / 株式譲渡

PMI

Post Merger Integration

M&A成立後に、経営、組織、人事、会計、IT、取引先対応などを統合し、事業を安定させる取り組みです。

試験での押さえ方
中小M&Aでは、成約そのものよりも成約後の事業継続が重要です。従業員説明や取引先対応もPMIの重要論点です。
関連工程
クロージング後 / 統合支援

財務・評価

EBITDA

利払い・税金・減価償却前利益

営業利益に減価償却費などを足し戻し、事業の稼ぐ力を見るために使われる指標です。企業価値評価で倍率法の基礎になることがあります。

試験での押さえ方
EBITDAは便利な指標ですが、運転資本、設備投資、借入金、オーナー依存などを無視してよいわけではありません。
関連工程
企業価値評価 / 財務DD

DCF法

Discounted Cash Flow

将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を評価する方法です。

試験での押さえ方
将来計画、割引率、永久成長率などの前提により評価額が大きく変わります。中小企業では計画の信頼性や経営者依存も考慮します。
関連工程
バリュエーション

純資産法

ネットアセットアプローチ

貸借対照表上の資産・負債を基礎に、実態純資産を見て企業価値を評価する方法です。

試験での押さえ方
帳簿価額をそのまま使うのではなく、不良在庫、回収不能債権、含み損益、簿外債務などを調整する視点が重要です。
関連工程
企業価値評価 / 財務DD

NWC

Net Working Capital / 運転資本

売掛金、棚卸資産、買掛金など、日々の事業運営に必要な資金の状態を示す概念です。

試験での押さえ方
クロージング時の運転資本が通常水準から外れると、価格調整の対象になることがあります。価格と資金繰りの両方に関わる論点です。
関連工程
価格調整 / 財務DD

QofE

Quality of Earnings / 収益の質

一過性損益や異常値を除き、対象会社の本来の収益力を確認する財務DD上の考え方です。

試験での押さえ方
単年度利益だけを見ると過大評価・過小評価が起きます。役員報酬、臨時収益、特別損失などの調整を意識しましょう。
関連工程
財務DD / 正常収益力

アーンアウト

Earn-out

買収後の業績達成などを条件に、売り手へ追加対価を支払う仕組みです。

試験での押さえ方
買い手と売り手の価格目線が合わない場合に使われますが、業績指標、計算期間、経営関与、紛争時の扱いを明確にする必要があります。
関連工程
価格交渉 / 最終契約

契約・リスク

表明保証

Representations and Warranties

契約当事者が、一定の事実が真実かつ正確であると表明し、保証する条項です。

試験での押さえ方
対象会社の株式、財務、税務、契約、許認可、労務、紛争などが対象になります。違反時は補償や解除の論点につながります。
関連工程
最終契約 / 法務DD

補償条項

Indemnity

表明保証違反や契約違反などにより損害が発生した場合、どの範囲で相手方が補償するかを定める条項です。

試験での押さえ方
補償上限、請求期間、免責金額、重要性基準が実務上重要です。リスク分担の設計として理解しましょう。
関連工程
最終契約 / リスク分担

クロージング条件

Conditions Precedent

決済や株式・資産移転を実行する前に満たすべき条件です。許認可、承諾取得、表明保証の維持などが含まれます。

試験での押さえ方
契約締結とクロージングが別日になる場合、条件未充足のリスクがあります。取引先承諾や経営者保証の扱いも確認します。
関連工程
最終契約 / クロージング

MAC条項

Material Adverse Change

重大な悪影響が発生した場合に、解除や条件変更を認める条項です。

試験での押さえ方
何を重大な悪影響とするかが曖昧だと紛争になります。業績悪化、災害、主要取引先喪失などの扱いを具体的に考えます。
関連工程
最終契約 / 解除

テール条項

Tail Clause

仲介・FA契約終了後でも、一定期間内に紹介済み候補先と成約した場合などに報酬が発生する条項です。

試験での押さえ方
依頼者とのトラブルになりやすい条項です。対象候補先、期間、報酬発生条件を事前に明確に説明する必要があります。
関連工程
仲介契約 / 報酬説明

利益相反

Conflict of Interest

支援者の立場や報酬構造により、依頼者の利益と支援者・相手方の利益が衝突する状態です。

試験での押さえ方
仲介者は売り手・買い手双方に関与するため、利益相反の説明が重要です。隠すのではなく、関係性や制約を説明する姿勢が問われます。
関連工程
倫理 / 仲介・FA