簿記2級試験の構成と仕訳の比重
近年の日商簿記2級は、試験時間90分・100点満点・70点以上で合格という形式で、商業簿記と工業簿記から次の5問構成で出題されています。
| 大問 | 分野 | 出題内容の例 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 商業簿記 | 仕訳問題 5題 | 20点 |
| 第2問 | 商業簿記 | 連結会計、株主資本等変動計算書、勘定記入など | 20点 |
| 第3問 | 商業簿記 | 決算書類(損益計算書・貸借対照表など)の作成 | 20点 |
| 第4問 | 工業簿記 | 費目別・部門別・個別/総合原価計算、仕訳を含む | 28点 |
| 第5問 | 工業簿記 | 標準原価計算、直接原価計算、CVP分析など | 12点 |
第1問の仕訳5題に加えて、第2問・第3問の総合問題も個々の仕訳の積み重ねで解きます。工業簿記の第4問でも仕訳が直接問われるため、2級でも「仕訳力」が得点の土台であることは3級と変わりません。最新の出題区分は商工会議所の検定公式サイトで確認してください。
3級との違い
| 観点 | 簿記3級 | 簿記2級 |
|---|---|---|
| 前提となる会社 | 小規模な株式会社 | 株式会社(発行・配当・税効果などを含む) |
| 分野 | 商業簿記のみ | 商業簿記+工業簿記 |
| 勘定科目数 | 基本的な科目中心 | 大幅に増加(有価証券、引当金、リースなど) |
| 取引の複雑さ | 1取引1〜2行の仕訳が中心 | 複数行の仕訳、振替・修正が増える |
| 試験時間 | 60分 | 90分 |
範囲は広がりますが、「取引をグループに分類し、定位置に記録する」という仕訳の原理は同じです。3級の頻出仕訳を素早く正確に切れる状態にしてから2級に入ると、新論点の吸収が速くなります。基礎に不安がある場合は仕訳問題を解く7ステップから確認してください。
3級から2級の総合問題までの流れ
2級の論点を最初からまとめて覚えるのではなく、3級の基礎を確認し、個別論点、複数論点、総合問題の順に進めます。
13級の基本仕訳を確認する
5要素、借方・貸方、商品売買、債権・債務、固定資産などを復習する
22級の個別論点を学ぶ
各論点の取引内容と処理原則を理解する
3論点ごとの仕訳を反復する
答えではなく、科目・増減・金額の理由を確認する
4複数論点を組み合わせる
どの処理を使うかを問題文から選ぶ
5総合問題へ進む
一連の処理の中で仕訳と集計を行う
6. 苦手な論点へ戻る:誤りの原因が分かったら、該当する個別論点を解き直します。
個別問題を一度正解しただけで総合問題へ進むのではなく、なぜその仕訳になるかを説明でき、問題文から必要な処理を選べることを目安にしてください。総合問題の段階では、90分の時間配分(第1問と工業簿記を先に確実に取る、など)を過去問・予想問題で体に馴染ませます。ネット試験を受ける場合は、画面上で科目選択・金額入力する操作にも慣れておきましょう。
商業簿記の頻出仕訳論点
2級商業簿記の第1問でよく出る論点は、おおむね次のとおりです。パターンが多い分、論点ごとに集中して演習し、「この取引ならこの仕訳」という型を1つずつ増やす学習が有効です。
| 論点 | 押さえるポイント |
|---|---|
| 商品売買(売上原価対立法など) | 三分法との違い、返品・割戻しの処理 |
| 銀行勘定調整 | 企業残高と銀行残高のズレの原因別に、仕訳が必要かどうかを判断 |
| 固定資産 | 割賦購入、除却・廃棄、買換え、建設仮勘定、圧縮記帳 |
| 有価証券 | 売買目的・満期保有・その他の区分と評価差額の処理 |
| 引当金 | 貸倒引当金の個別/一括評価、修繕引当金、賞与引当金、退職給付引当金 |
| 外貨建取引 | 取引時・決済時・決算時の換算レートの使い分け |
| リース取引 | ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区別 |
| 株式の発行・剰余金の配当 | 資本金・資本準備金への振り分け、利益準備金の積み立て |
| 税金・税効果会計 | 法人税等の中間納付・確定、税効果の基本仕訳 |
| 本支店会計・連結会計 | 内部取引の相殺、連結修正仕訳の基本パターン |
工業簿記の仕訳は「勘定連絡」で考える
工業簿記の仕訳は、原価が「材料・賃金・経費 → 仕掛品・製造間接費 → 製品 → 売上原価」と工場内を流れていく勘定連絡図を押さえることが出発点です。個々の仕訳を暗記するのではなく、「原価がどの勘定からどの勘定へ動いたのか」を図の上でたどりながら解くと、応用問題にも対応できます。
例:材料200,000円を直接材料として消費した。
答え:(借方)仕掛品 200,000 /(貸方)材料 200,000
直接費は仕掛品へ、間接費なら製造間接費へ振り替える、という流れの一部として覚えます。
製造間接費の予定配賦と配賦差異、標準原価計算の差異分析も、勘定連絡図のどこで差異が生まれるかを押さえると仕訳に迷わなくなります。学習順は、費目別計算→製造間接費→個別・総合原価計算→標準・直接原価計算の順で、常に勘定連絡図に立ち返りながら進めます。工業簿記は満点が狙いやすい分野なので、得点源に育てましょう。
間違えた仕訳の復習手順
2級では、正答だけを覚え直すと、数字や条件が変わった問題で同じ誤りを繰り返します。まず、どこで判断を間違えたかを分類してください。
- 論点
- どの会計処理を使う問題か判断できなかった
- 勘定科目
- 取引に合う科目を選べなかった
- 借方・貸方
- 5要素の増減や振替の方向を間違えた
- 金額計算
- 取得原価、配賦、評価、差額などの計算を間違えた
- 問題文の条件
- 時点、期間、税区分、処理方法などを読み落とした
- 原因を一文で記録する
- 該当する基本問題へ戻る
- 時間を空けて解き直す
- 類似問題で確認する
複数の原因が重なる場合もあります。たとえば、論点を取り違えた結果として勘定科目と金額の両方を間違えた場合は、最初に起きた判断ミスから直してください。勘定科目や借方・貸方でつまずくことが多い場合は、勘定科目の覚え方と借方・貸方とはで基礎に戻れます。
スキマ時間の反復に、アプリを活用する
2級は覚える型が多いため、机に向かう時間だけでなく、通勤・通学のスキマ時間をどれだけ反復に充てられるかが差になります。本アプリ「仕訳力ドリル」は、2級の商業簿記・工業簿記の仕訳にも対応しており、App Store・Google Playで配信中です。間違えた問題が自動で復習リストに入る設計のため、上の復習手順をアプリだけで回せるようになります。